文:石川商事代表 石川貴志
プミポン国王の崩御から一ヶ月が過ぎました。
先月13日に訃報に接した時、私も大きな喪失感を覚えました。20歳で初めてタイに来て以来『私の愛するタイは常にプミポン国王とともにあったのだ』とそんなことを思いました。
プミポン国王は芸術とスポーツを非常に高いレベルで嗜まれた類稀なる国王でした。
プミポン国王が親しまれた芸術活動の数々
サックスによるソロ演奏。
国王はサックス、クラリネット、トランペット、ギター、ピアノ、バイオリンなど沢山の楽器を演奏されました。

ピアノで作曲中のプミポン国王。全48曲もの作品を残されました。
国王の代表的作品のひとつ、”H.M.Blues”。
H.M.とはHis Majesticの略で、邦題に訳せば「国王陛下ブルース」といったところでしょうか。即位後5曲目の作品だそうです。
この西洋人ギタリストの演奏は素晴らしいです。

1960年ニューヨークにてベニー・グッドマン楽団と90分間のセッション。
翌日もグッドマンの宿泊先を訪問され、更に2時間セッションされました。

1960年、ハリウッドのパラマウント・ピクチャー社のスタジオをシリキット王妃とともにご見学。
映画「G.I.ブルース」を撮影中のエルビス・プレスリーとご対談し、”King Meets King”として話題になったとのこと。

ジャズバンドでギターを弾かれるプミポン国王。
Gのコードを押さえていらっしゃいます。

国王は音楽以外にも、絵画、写真、映像撮影、文芸など、様々な芸術活動に親しまれました。
スポーツへの情熱

国王は芸術だけでなく、スポーツにも大きな情熱を注ぎ込まれました。
1967年にバンコクで開催されたシーゲーム(東南アジアのオリンピックのような大会)では、ヨット競技でなんと金メダルを獲得されました。

ウィンタースポーツをされる若き日の国王。

マリンスポーツ姿のプミポン国王
以上、日本人にはあまり知られていないプミポン国王の魅力的なお人柄をご紹介しました。
最後に、12年前に国王がシリントン王女に送られた素晴らしい手紙をご紹介して、締めくくりたいと思います。
プミポン国王がシリントン王女へ送られた手紙
2004年10月6日 娘へ この世界では、全てのものは常に対をなしている。 闇と光 善と悪 好きな方を選べと言われたら、誰もが明るい方を、良い方を選ぶだろう。 しかし、その願いを叶えるには、明るい方、良い方に向かうには、人を愛することが必要だ。 愛によって、あらゆる問題は解決できる。 この世界は幸福で満たされ、平和になり、愛で溢れるようになる。 お前に伝えておきたい。 1. 周りの人をみんな友と思いなさい。 共に生を受け、共に歳を重ね、共に痛みを分かち合い、共に天に召される。 過去も、現在も、未来も、いつのときも、全てを分かち合う友だと。 2. 世界の良いところを見なさい。そうすれば世界はより良いものになる。 現実をきちんと見ること。 そうすることで、あるべき解決策が導き出される。 3. 自分の足で立ちなさい。 すでに満たされているのだ、という気持ちを持つこと。 今あるもの、今得られているものに満足すること。 それがどうであれ、それを受け取る。 執着せず、「あればいいが、なくてもいい」という考え方を持つこと。 身の丈に合ったものに満足すること。 持っているものが少なくても、得られるものが少なくても、それで満足すること。 ー 余裕を持つこと。自分を大きく見せないこと。後で困るのは自分自身。 ー そこそこで満足すること。働きに見合ったもので満足する、ということ。 ー 自分自身に見合った立場でちゃんと生きること。 4. ぶれない心を持ちなさい。 怠惰は罪であり、勤勉には価値があると知りなさい。 嫌なことがあったときは、またいいこともある。楽もあれば苦もある、 賞賛を浴びることもあれば、陰口を叩かれることもある。 ついてないときもある。運に見放されるときもある。 それが自然の摂理なのだ、と唱えなさい。 むやみに嘆いたりせずに、「そういうものだ」と思いなさい。 父より